やしお

ふつうの会社員の日記です。

磯田道史『近世大名家臣団の社会構造』

https://bookmeter.com/reviews/99999790
武士と一口に言っても、内部は侍・徒士足軽の3層構造になっていて、各層の経済構造や世代交代・階層移動の様子は大きく異なっていたという。それも江戸時代の初期か後期かでも変化がある。一つの家・人物など個別具体例ではなく、地域も超えた一般構造を見せる本は珍しくてとても面白かった。地位と収入が保証された侍、地位は低いが農業収入のある足軽に比べて、副収入も乏しく経済的に困窮した徒士が、幕末期に変革の中心的存在になった、という指摘が面白かった。


 ただの控え、記録みたいなものが、後々貴重なデータとして統計的な解析に使われている。今だと物理的な紙にも残さないし、電子データが失われていくと、後世の解析でどうなるんだろうか。個人的に詳細な家計簿をずっとつけているけど、これなんかもおじいさんになったらネットで公開するとかしてもいいのかもしれない。
 もとが博士論文なので仕方がないというか、過ぎた要求だけど、内容に繰り返しや言い換えが多くて非常に冗長で、データ量を減らさず3分の2に圧縮できるはずなところが、読んでいてちょっと面倒だった。