やしお

ふつうの会社員の日記です。

蓄積が実践に回った年だったのかもしれない

 今年は譲位・改元があったり世の中も色々あったけど、自分自身にとってもすごく色々あったなと思った。これまでそんなに大きな変化なく生きていたのにびっくりだったので自分の中で整理しておこうと思って。


会社でグループリーダーになった

 1月から職場でグループリーダー(主任か係長みたいなポジション)になった。メンバーは6人で、1人を除いて全員自分より10歳以上年上で、やりづらいかな? と始まる前は思ったけれど、それなりに上手くやれてるんじゃないかと自分では思っている。交代する前にこんな風にしたいと思ったことを↓にまとめてみたのだった。
  会社でグループリーダーになるから準備する - やしお


 その後1ヶ月ほど経ってから、感じたり考えたことを改めて↓にまとめてみた。
  マネジメントはバランス感覚の問題かもしれない - やしお


 情報の流入量がすごく増えて、タイムリーに漏れなく捌くのが大変だなと特に思う。マネジメントは技術だけど、技術は、理論と訓練と実践の三つ巴があって初めて向上するものだということも改めて感じた。そしてこの技術は二分して割り切れないことをどこでバランスを取るかという感覚を育てていくことかもしれない。ただ今年はトラブル対応や新製品の立ち上げにみんな忙殺されて、職場の課題を改善するような活動がずいぶん疎かになってしまった。「1年経ったら全員1つ歳をとる」と肝に命じて来年はちゃんと進めたい。


初めてお金を貰って文章を書いた

 はてなの編集部から連絡をもらって、SUUMOタウンに「新川崎」の紹介をする記事を書いた。
  ただの住宅地「新川崎」に住んでいたら、勝手に7年が経った - SUUMOタウン


 文章を書いてお金を貰うのも、書いたものを人に確認してもらって修正したりするのも自分にとっては初めてで不思議な感じがした。ちょうどその頃、漫画家やライターが編集者や出版社に理不尽な目に合わされている、みたいな報告をTwitterや何かで見かけることが多かったので、はてなの編集者は普通だったよ、「普通」であることは素晴らしいことだよ、という記録を残した↓
  文章を書いてお金を貰う体験 - やしお


 書かないかと声をかけてもらって、ああ自分が書いてたのを読んで「いいな」と思ってくれてた人がいたんだなっていうのが単純に嬉しかった。


創作の文章がたくさん読まれた

 4月1日に新元号が発表されることになって、その前にせっかくだからと思って、「愛子さま天皇に、芦田愛菜さんが首相になる話」を冗談でぱっと書いて「AAゴールデンエイジ」というタイトルでカクヨムに載せたら思いの外たくさんの人に読まれて変な感じがした。
  AAゴールデンエイジ - AAゴールデンエイジ(OjohmbonX) - カクヨム


 もともとTwitterなどでずっと前から冗談で言ってたのを組み合わせたら面白いかしら、と思って適当に書いただけのもので、10年以上前から創作は書いていたから(最近は全然書かなくなってしまったけれど)、今さらねって気もちょっとした。
 新聞社の記者から取材を申し込まれて受けたけれど、記事になったとは聞いていないのでボツになったのだと思う。取材を受ける経験も初めてで不思議な感じもしたけれど、その場ではざっくばらんにお互いの生活のこととかもおしゃべりして雑談のような感じだった。


・書いた本人としては愛子さま天皇になってほしいとも、芦田さんが首相になってほしいとも思っていない。女性/女系天皇賛成かどうかというより人権との関係で天皇制は廃止が望ましいとずっと信じている、ただしそれを考えるには天皇制がどういう機能を歴史的に担って変遷してきて、現在がどう機能しているかも含めて考えないといけないと思っている。その辺のことは↓に詳しく書いた。
  天皇個人への肯定と制度への否定が同居すること - やしお


・エンタメとして「ものすごく強い人が周囲を圧倒する」ストーリーは楽しい。映画だと『座頭市』の北野武とか、現実でも将棋棋士藤井聡太七段のストーリーはみんな大好きなのと同じで、それをやっただけでしかない。ストーリーと現実の制度を組み合わせて逆算すれば自動的にああいう話になるだけのことで、「女性天皇の議論を喚起する」などの意図は書き手としては何もない。過去にもめちゃくちゃ強いヘレン・ケラーが人を次々に暗殺する話も書いていて、それと同じ。
  奇跡の人 - 奇跡の人(OjohmbonX) - カクヨム


・実在で存命の、しかも未成年の人物をモデルとして書くことには大きな問題がある。もし本人や家族から「消せ」と言われればすぐに消すのが当然だと思う。せめて、登場人物全員について貶めるようなことを書かない、至るところに「これは冗談だ」と分かるような記号を入れる(絶対にあり得ないような元号とか)、といった配慮は最低限したつもりでも、それで全的に認められはしないとは感じている。


といったことをお話ししたと記憶している。記者からは「女性天皇や女性首相といったテーマを扱っている」、その著者の考えを聞きたいというのが当初のお話だったから、聞きたい話とはかなり違うかもしれなかったけれど、それが書いた当人が思っていた実際なのでしょうがない。


友達と絶縁した

 いいことだけじゃなくて、6年以上付き合いがあって一番頻繁に会っていた友人と絶交したのも自分の中ではかなり大きな出来事だった。記録しておこうと思って↓を書いたら、ブックマークコメントで「お前もおかしい」と散々言われて、その時は非常に辛かったけれど、だんだん(そうか、やっぱ自分もおかしかったか)と思った。感情的に相手を非難するような文章は書いていないし、それなりに客観視して考えてみたつもりだったけれど、まだまだ難しかったなと知られたのは良かった。
  お金を貸して絶縁するだけの話 - やしお


 この「ブックマークコメントでめっちゃ叩かれた」という当人の実感は、実は肯定に比べて否定は大きく見えてしまうという非対称性に由来するのではと思って、実際に300件超のコメントを種別にカウントしたら否定は(コメント無しも含めると)全体の1~2割だと分かった。1割の印象に引っ張られて、無言の人も、中立の人も含めて否定されてしまうように感じて、8割の人から否定されているように感じてしまう。
  コンテンツと人格のあいだ - やしお


 友人と絶縁した当初はとても残念な気持ちで一杯だったけれど、もとが無理していて遅かれ早かれだったのだろうと後から振り返ると思う。


引っ越した・同棲を始めた

 ずっと一人暮らしを続けるものだと思っていたし、今年初めの時点で引っ越すとも誰かと暮らすようになるとも思っていなかったから、これが一番自分でもびっくりした。
  同性愛者が異性と同棲する - やしお


 ちなみに引っ越したけれど、最寄り駅は新川崎のままなのでSUUMOタウンのことは裏切ってない。以前よりもさらに便利な場所になって(鹿島田にも近くなった)、部屋もとてもいいところが運良く見つかったし、同居人との関係も良好で嬉しい。


海外に色々行った

 出張と旅行で今年は5か国(韓国と台湾と中国とロシアとドイツ)に行って、合計で40日ほど海外にいた。国内でも宿泊の出張がちらほらあったせいで、帰ってきたらまたすぐ、という状況も時々起こって、なんだかバタバタしていたなあという印象だった。今まで海外出張も海外旅行もそんなにしていなかったし、生まれて初めて国外へ出たのも6年前で大人になってからだし、こんな色々行けるとは思わなかった。実際に行ってみると日本と違うところ同じところが細かく見られて面白い。たぶん来年はこんなに行かない。


  ロシア旅行(2019年6月)事情のアップデート - やしお
 これは旅行記というより、ガイドブックやネットの情報に対して実際どうだったかとか、行ってみて不便なところ便利なところなんかをあれこれ書き残したメモ。


  中国の人たち - やしお
 中国出張で、中国の人達と我々との感覚や思考の違いについて、そんな大袈裟な話じゃないメモ。


  中国は品質が悪いというイメージのこと - やしお
 中国の会社(工場)も複数見てみて、品質管理のやり方も同じ中国の中でもかなり違うんだなと思ったメモ。「中国だから悪い」っていうより特性に対するシステムのミスマッチの問題みたいな。


英語の勉強をした

 英語の勉強自体は就職後もずっとだらだら続けてはいたけれど、今年はお金と時間を費やして集中的にやったら、コミュニケーションがちゃんと成立して仕事でちゃんと使えるレベルになって、とても嬉しかった。
  英語を勉強して嬉しかったって話 - やしお


 海外出張で置物みたいにならずに相手と話ができる、仕事のことでも相手や相手の国のことでもちゃんと知られるのは本当に楽しい。
 ちょうどこのトレーニングを受けている時期に、仕事がとても忙しいのと引っ越しが重なって、この10年で体感で一番忙しかった。もともと帰宅してぼんやりしたり休日に特に予定もなくぼんやりして過ごす時間があったのが全部なくなって、この日にあれとこれとそれをやって、通勤でこれやって帰宅したらあれやって、みたいに詰め込んでいて、多忙な人ってこんな感じで生きてんのかなと思った。子育てと家事と仕事をやってる人は日常的にこれくらい多忙なのかもしれない。




 例年はこのうちの一つが起こるか起こらないかくらいなのに、この一年でこれだけ起きたのは初めてのことで本当に不思議だった。不思議だと思う一方で、今までずっとやってきたことの延長でどれも起こっているのかもしれないとも感じた。仕事も10年かけて準備してきたことの結果で選ばれている気もするし、書くことも15年続けていた結果で、英語も今年だけで水準が上がった訳ではなくてずっと勉強を続けていた上でのことだし、同棲も5年前、10年前の他者の尊重の仕方が不十分だった自分なら上手くいかなかったかもしれない。今年はなんだか色々あったな、って気持ちと、今までやってきて良かったなって満足感が一緒にある。世界全体から見れば極めてささやかなことだけど、生きている当人にとってはちょっと人生って面白いなみたいな気がした。